感情の揺らぎは、単なる気の迷いではなく明確な生物学的反応に基づいている。近年、日本心理学会をはじめとする学術機関でも、他者の脆弱性に接した際の脳内物質の変化に関する研究が進んでいる。
心理学におけるアタッチメント理論(愛着理論)は、人間が特定の他者との間に安全基地となる親密な絆を形成するプロセスを説明する。相手が困惑している表情や、助けを求める視線などの微細なシグナルを感知すると、脳の視床下部から「オキシトシン」と呼ばれる神経ペプチドが分泌される。
オキシトシンが血中に放出されると、脳は恐怖や警戒心を緩和し、他者への共感や親和行動を促進する。つまり「守ってあげたい」という強い衝動は、アタッチメント理論が示す本能的な生存戦略であり、オキシトシンの作用によって身体レベルで引き起こされる自然な生理現象なのだ。