画面に指を滑らせた瞬間、次の動画が再生される。この間、わずか0.2秒。2026年における主要プラットフォームのレコメンドエンジンは、かつてない精度でユーザーの心拍数や瞳孔の微細な動き、スクロールの速度変化をリアルタイムで追跡している。
単に「過去に見たジャンル」をおすすめする時代は終わった。現在のAIは、ユーザーが「今どんな感情状態で、どの程度の疲労度にあるか」まで推測する。悲しい気分の時には共感を呼ぶ短編エッセイ風動画を、疲労がピークの時には何も考えずに見られるシュールな映像を絶妙な順序で繰り出す。一度このループに足を踏み入れれば、脱出するのは至難の業だ。