樹海周辺を訪れると、随所に設置された富士の樹海の自殺防止看板が目に入ります。「命は親からいただいた大切なもの」「もう一度立ち止まって相談を」といった文言とともに、24時間対応の相談窓口電話番号が記載されています。かつては画一的な看板が中心でしたが、現在では多言語表記やQRコードを用いた相談窓口へのリンクなど、時代に合わせた配慮がなされています。
看板以上に大きな役割を果たしているのが、青木ヶ原樹海のパトロール員や地元ボランティア、そして富士吉田警察署などの警察官による地道な声かけ活動です。観光客とは異なる服装(軽装、大きなスーツケース、季節外れの服装など)でバス停に降り立った人物や、虚ろな表情で歩道を行き来する人に対し、温かく声をかけることで数多くの命が水際で救われています。
実際に保護された富士の樹海の生還者の証言によると、「誰にも気づかれずに消えたかったが、地元の人に何気なく『こんにちは、どこから来たの?』と声をかけられた瞬間に緊張が解け、涙があふれて思いとどまった」と語るケースは少なくありません。人知れぬ場所と思われがちな樹海ですが、地域社会の温かい監視の目が常に光っています。