一般的に利き足と聞くと「サッカーボールを気持ちよく蹴ることができる足」と単純に捉えられがちですが、身体運動科学における定義はより複合的です。専門用語では利き足(操作足・リード脚)と呼ばれ、身体の重心移動や運動連鎖の中で、最も器用かつ微細な力加減や方向制御を行える側の脚部を指します。
人間の身体には左右どちらかを優先的に使う「側性(ラテラリティ)」という神経生理学的な性質が備わっています。ここで注目すべきは、利き手と利き足の違いです。手は主に道具を扱うなどの「空間操作」に特化して進化してきたのに対し、足は「体重を支えて移動する(支持)」と「対象物に働きかける(操作)」という2つの相反する役割を同時に担わなければなりません。
そのため、手は右利きであっても足は左利きという「クロスドミナンス(交差側性)」が自然発生します。スポーツ医学の調査データによると、世界人口における利き足の左利き割合は約10〜15%とされていますが、利き手における左利き割合(約10%)と比較して、足の側性はより環境や競技特性によって柔軟に分化する傾向が確認されています。