戦後日本のメディア史を紐解くと、国内の隠された重要事実が明るみに出る契機の多くは、海外発のスクープでした。かつてのロッキード事件から、近年の巨大芸能プロダクションにおける性加害問題、大手製造業の品質データ改ざん問題に至るまで、国内テレビが長年「公然の秘密」として封印してきたタブーを粉砕したのは、常に英国BBCや米国ニューヨーク・タイムズなどの外圧報道でした。
なぜ海外メディアには報じられて、日本の地上波には報じられないのか。その核心は、「ステークホルダーの非対称性」にあります。海外特派員は日本の広告代理店から広告料をもらっておらず、日本の記者クラブの排他的な人間関係に縛られることもありません。彼らの評価軸は「国際的な人権基準や市場倫理に照らし合わせて報道価値があるか」という一点に集約されます。
日本のキー局が外圧報道を受けてようやく後追い報道を開始する構図は、国内ジャーナリズムが「自律的な調査報道機関」から「安全が確認された情報のみを流す拡声器」へと変質してしまった現実を如実に物語っています。