物語は、重い遺伝病「グレゴリウス症候群」によって脳死状態に陥り、病院のベッドで静かに命の灯を消そうとしている17歳の少年・宮本時生(トキオ)と、彼を見守る両親の姿から幕を開けます。悲嘆に暮れる母・康代に対し、父・拓実は「自分はかつてトキオに会ったことがある」と静かに語り始めます。
舞台は遡ること1979年の東京・浅草。当時の宮本拓実は定職にも就かず、ギャンブルに身をやつし、世間や親への不満を撒き散らしながら自堕落な生活を送る23歳の青年でした。そんな拓実の前に、不思議な雰囲気をまとった少年「トキオ」が突然姿を現します。
失踪した恋人・千鶴を追う旅に出ることになった拓実とトキオ。浅草から名古屋、大阪へと向かう道中で、ふたりは様々な事件や個性豊かな人間模様に巻き込まれていきます。反発し合いながらも行動を共にするうち、拓実はトキオの聡明さや温かさに触れ、自らの歪んだ生き方や生い立ちへのコンプレックスと向き合い始めます。何も知らずに息子と旅をする父と、すべてを知りながら父を導く息子という切ない構図が、物語をぐいぐいと牽引していきます。