臭い玉を取り出して潰した際に放たれる特有の腐敗臭・下水臭は、一度嗅ぐと忘れられないほどのインパクトを持ちます。この悪臭の主な発生源は、嫌気性細菌がタンパク質を分解する過程で生成される揮発性硫黄化合物(VSC:硫化水素やメチルメルカプタンなど)およびスカトール、インドールといった化合物です。
陰窩の内部は酸素が非常に少ない密閉空間であり、空気を嫌う嫌気性細菌にとって絶好の繁殖環境となります。ここで細菌が剥離上皮などのタンパク質を腐敗・発酵させるため、微小な塊であっても高濃度の悪臭ガスが凝縮されます。
ただし、口臭への影響については正確な理解が必要です。膿栓が陰窩の中に収まっている状態では、直接周囲へ放散される臭気の量は限定的であることも多く、「臭い玉がある=即座に重度の口臭になる」とは限りません。むしろ、膿栓が蓄積しやすい口腔環境(唾液不足、口呼吸、舌苔の付着)そのものが複合的に作用し、深刻な口臭トラブルを引き起こしているケースが大半を占めます。