ネット上では長年、「チャラーンは共演者から煙たがられていたのではないか」「降板劇には番組制作サイドとの軋轢があったのではないか」といった真偽不明の憶測が飛び交うことがありました。しかし、関係者の証言や当時の番組制作記録を辿ると、実態はそれらの噂とは正反対であることがわかります。
大喜利の司会を務めた歴代のレジェンドたち(三遊亭圓楽、桂歌丸、春風亭昇太)にとって、木久扇師匠の「チャラーン」とそれに続く頓狂な解答は、座の緊張を和らげる最高のバッファー(緩衝材)として重宝されていました。知的な謎かけや毒舌が続いた後に放たれる脱力感抜群のフレーズは、番組全体のテンポをリセットし、視聴者を飽きさせないための重要な演出装置として機能していたのです。
2024年3月31日の放送をもって勇退した際も、一部で囁かれた健康不安説を一蹴する形となりました。2014年の喉頭がん、2021年の大腿骨骨折という大病や怪我を克服した経験を持つ師匠ですが、勇退の真意は「86歳を迎え、後進に席を譲る責任を果たしたい」という極めて潔いプロ意識によるものでした。番組最長となる55年間の連続出演という金字塔を打ち立て、後任の立川晴の輔へバトンを託した決断は、演芸関係者からも極めて高い賛辞を集めました。