「爪は全身の循環不全を真っ先に映し出すスクリーンである」と、多くの内分泌代謝内科の専門医は口を揃える。高血糖が持続すると血液中のブドウ糖が血管壁のタンパク質と結合し、血管の内皮細胞を傷つけ、血管そのものを硬化・狭窄させていく。
心臓から最も遠い手足の指先は、そもそも血流が滞りやすい部位だ。微小な末梢血管の内径は赤血球がぎりぎり1列で通れるほど狭い。そこに粘稠度の増した血液が流れ込むと、酸素の供給は途絶えがちになる。爪母細胞の代謝活動が低下し、生成されるケラチンの構造が脆弱化するのだ。結果として爪の伸びが極端に遅くなったり、濁った変色や縦・横の異様なスジとなって現れる。
痛みがないからといって侮ってはならない。高血糖による組織障害は、自覚症状を伴わずに進行する。指先の冷えや痺れを自覚する段階では、すでに毛細血管網の広範囲にダメージが及んでいるケースが少なくない。