日本のジャム文化を語る上で外せないのが、アヲハタ株式会社の存在だ。長きにわたり食品産業の先頭を走ってきた同社は、過度な甘さで日持ちさせていた従来のジャム像を覆し、「低糖度」と「フルーツ本来のフレッシュ感」を両立させる技術革新を成し遂げた。酸素濃度を極限まで下げて加熱する真空濃縮技術は、家庭の調理にも深いインスピレーションを与えている。
家庭で真空調理は難しくとも、「加熱時間を短くして果実の酸化を防ぐ」という発想はそのまま応用できる。アヲハタが提案し続けた爽快な後味を自宅で再現するため、現代のホームシェフたちは煮込み時間を極力切り詰め、火から下ろした直後の急冷によってフレッシュな香気を瓶の中に閉じ込める技術を身につけている。