いま、吉幾三の音楽はデジタル空間で爆発的な拡散を見せている。公式YouTubeチャンネルで公開されたセルフカバーや斬新なミュージックビデオは数百万回単位で再生され、コメント欄にはリアルタイム世代だけでなく、10代や20代の若者、さらには海外の音楽ファンからの絶賛の声が溢れかえる。バイツァー(リミックス職人)たちによるマッシュアップカルチャーとも見事に共鳴し、ネットミームを超えた本物のリスペクトが形成された。
Spotifyをはじめとする各種ストリーミングサービスでも、往年のヒット曲の再生数が右肩上がりを続けている。作られたトレンドに食傷気味なデジタルネイティブ世代の耳に、吉幾三の飾らない剥き出しの歌唱とグルーヴは、極めて新鮮でリアルなオルタナティブ・ミュージックとして響いているのだ。トレンドを追うのをやめ、自らのルーツを貫き通した男の音楽が、期せずして最先端のアルゴリズムをハックしている。