1970年代初頭にミス・セブンティーンコンテストで優勝を果たし、瞬く間にスターダムへと駆け上がった坂口良子。彼女が日本の芸能界にもたらした衝撃は、単なるアイドル的人気にとどまらなかった。親しみやすさと圧倒的な演技力を兼ね備え、ホームドラマ全盛期の主役に抜擢され続ける。
なかでも、日本テレビ系列で放送された倉本聰脚本の『前略おふくろ様』で見せた「かすみ」役や、西田敏行主演の傑作テレビドラマ『池中玄太80キロ』での取材記者・鳴山アキ役は、時代を象徴する当たり役となった。TBSテレビをはじめとする各局の連続ドラマでも主演を張り、市川崑監督の金字塔映画『犬神家の一族』では旅館の女中・はる役として短い登場シーンながらも強烈な印象を観客の脳裏に焼き付けた。
可憐でありながら芯が強い。彼女が体現したヒロイン像は、高度経済成長期からバブルへと向かう日本社会において、誰もが心を許せる「理想の女性像」そのものだった。