積丹半島の北側に位置する幌武意地区。その地質的な特徴は、太古の火山活動と激しい海食によって削り取られた鋭い断崖絶壁にある。港はこの巨大な岩肌に包み込まれるように配置されており、北西の強い季節風や大化けする外海の波浪から船を守る「天然の要塞」の役割を果たしてきた。
水が透き通る理由は地形だけではない。河川からの泥水の流入が極めて少なく、岩盤とゴロタ石が敷き詰められた海底環境が、浮遊物の発生を抑えているのだ。太陽光が射し込むと、海底の石や藻類に反射し、独特のコバルトブルーからエメラルドグリーンへのグラデーションが生まれる。地元で長年海を見つめてきたベテラン漁師は「ここは風が吹いても港の中だけは底まで見える日が多い。海そのものが巨大な天然の水族館みたいなものだ」と語る。