一言のセリフで空気を支配する。そんな怪物的な存在感を解き放つのが田中要次だ。伝説的ドラマ『HERO』で見せたバーテンダー役の「あるよ」という名フレーズは、時を超えて今なお語り継がれている。元国鉄職員という異色の経歴を持つ彼だからこそ出せる、地に足の着いた重厚感と独特の哀愁は、唯一無二の価値を放つ。
コメディでのシュールな立ち回りはもちろん、一転してダークな役柄で見せる狂気的な眼光まで、その振れ幅の広さは圧倒的だ。画面に数秒映るだけで物語に深みを与えてしまう手腕は、名バイプレイヤーの枠組みを超えた芸術の域に達している。