吉田松陽という男は、穏やかな笑顔の中に底知れぬ深邃さを湛えた人物だ。坂田銀時、高杉晋助、桂小太郎の3人にとって、彼は命を支える道標であり、青春そのものだった。山寺はこの松陽の台詞を、まるで木漏れ日のように優しく、温かいトーンで紡ぎ出した。声を聞くだけで、幼少期の銀時たちがなぜ彼をこれほどまでに崇拝したのかが一瞬で理解できる説得力があった。
しかし物語後半、その温もりは一転して氷のような冷酷さへと反転する。不死の肉体を持ち、数多の死と再生を繰り返してきた虚の登場だ。山寺は同一人物の身体でありながら、声の響き、息遣い、間合いのすべてを変貌させた。松陽の面影を残しつつも、そこには一切の温情が存在しない。虚の口から発せられる冷徹な言葉は、視聴者のみならず劇中のキャラクターたちをも絶望の深淵へと叩き落としたのである。