彼女のビジュアル論を語る上で欠かせない転換点となったのが、映画『ミッシング』だ。娘の失踪に苦悩する母親を演じるにあたり、石原さとみはそれまでのパブリックイメージであった「完璧な美」を完全に封印した。髪を荒らし、ほぼすっぴんの状態でカメラの前に立ち、魂を削るような演技を披露した。
しかし興味深いことに、すべての装飾を剥ぎ取った極限状態の映像においてすら、彼女の骨格が持つ根本的な美しさは損なわれなかった。引き算の表現を極めたことで、かえって生まれ持った美しい鼻筋のラインや顔立ちの均整が際立ち、造形そのもののポテンシャルの高さが浮き彫りになったのである。