日本の朝食カルチャーを語る上で、絶対に外せない震源地がある。愛知県・中京圏で独自の発達を遂げた「名古屋モーニング」だ。もともとは繊維産業などで栄えた一宮市や名古屋市周辺で、商談や情報交換に集まる常連客への感謝として始まったこのおもてなし精神は、半世紀以上の時を経て全国へと浸透した。
単に「トーストが付く」というレベルを超え、茶碗蒸し、サラダ、うどん、果てはカレーまでセットにするサービス精神の過剰さ。それは飲食業における究極のホスピタリティの具現化にほかならない。現在では全国各地の喫茶店・カフェがこのエッセンスを取り入れ、独自のローカル食材と掛け合わせたハイブリッドなモーニングを打ち出している。朝一番に訪れた客を温かくもてなす文化は、もはや一過性のブームではなく、日本の朝の標準装備となった。