現在の建物を語る上で、ル・コルビュジエの薫陶を受けた巨匠・前川國男の設計は外せない。打ち込みタイルの外壁、光と影が巧みに計算されたエスプラナード、そして豊かな中庭。単に大きなホールを建てるのではなく、「人々が集い、憩うための都市空間」を創造した前川の思想が、敷地のすみずみにまで息づいている。
タイル一枚の質感を刻む壁面や、どこか温かみを感じさせる木目調のインテリアは、半世紀の時を経てもまったく色あせない。むしろ年月を重ねることで独特の味わいを増し、現代の無機質なビル群とは一線を画す深い存在感を放っている。