「30年以内の発生確率が数パーセント」という数字を見て、胸を撫で下ろしてはならない。東北大学災害科学研究所の遠田晋次教授をはじめとする地震学の専門家たちは、活断層評価における「確率の罠」に対して強い警告を発し続けている。
数十年から百年前後で繰り返す海溝型巨大地震とは異なり、内陸活断層の活動間隔は数千年単位だ。そのため、30年確率がわずか「1%」であっても、それは「いつ動いてもおかしくない切迫した状態」を意味する。2016年の熊本地震を引き起こした日奈久断層帯の一部も、発生直前の30年発生確率は「ほぼ0〜0.9%」と評価されていたのだ。
遠田教授らが提唱する応力伝播(クーロン応力変化)モデルによれば、ひとつの断層が動くことで周辺の地殻にかかる負荷が急変し、隣接する別の断層の活動が誘発される。連動型地震のリスクを組み込んだ最新の動的ハザード評価は、従来の静的な確率論を過去のものへと塗り替えつつある。