今回の映画化における最大のハイライトであり、ファンの議論が最も紛糾しているのが「人魚(セイレーン)の肉」を巡るエピソードの解釈だ。不老不死をもたらすとされる伝説の存在。だが、その恩恵を手にするためには、あまりにも重い犠牲と倫理的な境界線を踏み越える決断が求められる。
仲間を救いたいという純粋な願いが、巡り巡って他者の命や尊厳を脅かす惨劇へと繋がっていくジレンマ。映画では、加害者と被害者の立場が目まぐるしく入れ替わる構造が見事に描き出された。誰が正義で、誰が悪なのか。明確な答えを提示せず、観客にその重い問いを突きつける演出法は、まさに映画ならではの挑戦と言えるだろう。