1994年の巨人の日本一に貢献し、最高の投手称号である沢村栄治賞を受賞した桑田氏だが、そのキャリアは決して順風満帆ではなかった。翌1995年、試合中のダイビングキャッチによって右肘の靭帯を断裂。当時としては再起不能とも囁かれた大怪我だった。
長期にわたる過酷なリハビリ期間中、彼は自身の身体構造を一から学び直し、無駄を徹底的に削ぎ落とした投球フォームを再構築した。マウンドへの復帰を果たした際、マウンドに手をついて感謝を捧げたシーンはスポーツ史に残る名場面である。苦難を乗り越えて球威以上の投球術を身につけた姿は、アスリートのしなやかな強さを証明してみせた。