篠山紀信という名を決定づけたのは、1970年代半ばに『週刊朝日』で連載された「激写」シリーズだ。カメラを構える写真家と被写体との間に走る緊張感、そして一瞬の生命力を捉える圧倒的なスピード感。それは、当時の日本の写真表現に決定的な地殻変動をもたらした。
山口百恵、ジョン・レノンとオノ・ヨーコ、歌舞伎役者たち、そして名もない少女たち。彼のカメラの前に立った被写体は、自らの内に秘めた美と狂気を最大限に解き放つ。時代を象徴するアイコンたちを撮り続けた写真集の数々は、高度経済成長期からバブル期にかけての日本のエネルギーをそのまま凝縮したドキュメントと言える。瞬間を切り取る眼差しは鋭く、容赦がない。