地域のシンボルであった西条グランドホテルがなぜ閉館に追い込まれたのか。その理由は単一の要因ではなく、複数の構造的変化が重なった結果であると分析されています。
第一の要因は、宿泊特化型ビジネスホテルチェーンの台頭です。1990年代後半から2000年代にかけて、全国展開する大手ホテルグループが駅周辺や幹線道路沿いに相次いで進出。低価格かつ機能的なサービスを提供する競合に対し、宴会場や複数の飲食店を抱えるフルサービス型の大型ホテルは、過大な固定費と維持管理コストが重荷となりました。
第二に、冠婚葬祭文化の簡素化と人口動態の変化が挙げられます。地元での大規模な披露宴や宴会需要が縮小し、ホテル経営の大きな収益源であった婚礼部門の売上が大幅に減少しました。さらに、築年数の経過に伴う耐震補強工事や大規模改修に必要な数億円規模の投資を回収する見通しが立たず、経営陣は事業の継続を断念し、閉館という苦渋の決断を下すに至りました。