取材班が実施した産後アンケートや当事者へのヒアリング調査では、多くの女性が他人に言えない深い葛藤を抱えている実態が浮き彫りになっています。
都内在住の30代女性(産後1年2か月、2児の母)は次のように当時の胸中を語ります。
「体重は出産前の48キロまで戻ったんです。服を着ていれば『産後とは思えない体型だね』と褒められます。でも、お風呂に入る前に服を脱ぐと、下腹部にしわくちゃになった薄皮がだらりと溜まっている。夫にも絶対に見せられないし、温泉にも行けなくなりました。我が子を無事に出産できた喜びと、女性としての身体が不可逆的に変わってしまった喪失感の間で、毎晩のように検索窓に『産後 お腹 皮 戻らない』と打ち込み続けていました」
SNSやネット掲示板(5ちゃんねる、知恵袋)を分析すると、「努力が足りないと言われているようで苦しい」「筋トレしても皮だけが取り残されて絶望する」という投稿が後を絶ちません。現代社会における「産後もすぐに美しいプロポーションを維持すべき」という過剰なルッキズムやメディアの演出が、当事者を精神的な孤立へと追い込んでいる構造が窺えます。
しかし、近年の産後リハビリテーションの現場では、身体機能の回復を優先しつつ、「皮膚の変化は命を育んだ証拠である」という心理的アプローチ(セルフ・コンパッション)の重要性も強く説かれるようになっています。自力でのケアで改善する部分と、医療技術に委ねるべき部分、そしてありのままを受容すべき領域を明確に線引きすることが、心の健康を保つための第一歩となります。