巨星を失った歌舞伎界の絶望は計り知れなかった。しかし、その血脈と熱量は決して絶たれていない。長男・中村勘九郎、次男・中村七之助の兄弟は、父の突然の不在というあまりにも大きな試練を乗り越え、いまや歌舞伎界の中核として座組みを引っ張る存在となった。
勘九郎の長男・中村勘太郎、次男・中村長三郎ら次世代の若者たちもまた、祖父の遺伝子を色濃く受け継ぎ、瑞々しい演技で観客を魅了している。「伝統とは型を破るもの」。勘三郎氏が残した口癖は、次の世代の役者たちの胸に生き続け、2020年代の新たな歌舞伎の可能性を切り拓いている。