裁判の過程を克明に記録し、人間の業を描き出したノンフィクション書籍の金字塔が、『毒婦 木嶋佳苗100日裁判』に代表される裁判ドキュメンタリー群である。法廷で繰り広げられた100日間に及ぶ壮絶なやり取り、被告の表情、証人の言葉が詳細に描写され、読者に圧倒的な臨場感を提供した。
日本のノンフィクション界において、犯罪者の内面に迫る試みは数多く存在してきたが、本件ほど被告自身の「言葉の力」が注目された事例は珍しい。書籍化された一連の作品群は、単なる事件史の記録にとどまらず、平成から令和へと至る日本社会の歪みを映し出す鏡として、現在も研究者や読者の間で読み継がれている。