騒動の起点となったのは、一塁走者と一塁手との間で生じた接触プレイだ。走者の足が捕球体制に入っていた一塁手の足に触れたシーンが、テレビ中継の映像を通じて全国に流れた。一見すると交錯事故にも見える場面だったが、一部の視聴者が「故意に蹴ったのではないか」との疑念を抱いたことで波紋が広がった。
当時の映像を高精細に解析すると、走者は全力疾走の勢いのままベースを踏み込んでおり、自身の視線は一塁手のグローブやボールの軌道に注がれていたことがわかる。ベース際での僅か数センチメートル刻みの攻防において、走者が意識的に相手の足を狙って蹴り出す余裕があったのかどうか。専門的な動態解析や元選手らの見解を踏まえると、極限状態での意図せぬ接触であった可能性が極めて高い。
しかし、故意か過失かという議論が深まる間もなく、スロー映像の切り抜きがソーシャルメディア上で独り歩きを始めた。コマ送りによって強調された衝撃的な場面だけが誇張され、事態は急速に拡大していったのである。