映画『スマホを落としただけなのに』が描いた恐怖は、決してフィクションの中だけの話ではない。現代のIT・情報通信産業が提供する利便性の裏には、個人の隙を狙う緻密な罠が網の目のように張り巡らされている。
近年の顕著な脅威が、銀行や物流業者、大手ECサイトを装った高度なフィッシング詐欺だ。SMSやメールで届く「アカウント凍結のお知らせ」や「荷物の不在通知」のリンクを一度タップしただけで、ID・パスワードやクレジットカード情報が瞬時に窃取される被害が相次ぐ。
強固なサイバーセキュリティ技術を導入している企業側に対し、攻撃者は人間の「焦り」や「不注意」といった心理的隙を突く。パスワードの使い回しや公衆Wi-Fiでの無防備な暗号化通信の利用など、日常のわずかな油断が個人の全資産や人脈を危機に晒す要因となる。