平等院の煌びやかな極楽浄土の建築美に息を呑んだ後は、宇治川にかかる橘橋を渡って対岸へ足を伸ばしたい。平安時代後期の関白・藤原頼通が父・道長の別荘を寺院へと改めた歴史の重みを感じつつ、緑深き朝日山の麓へと歩みを進める。
そこに佇むのが、日本最古の神社建築として世界遺産に登録されている宇治上神社だ。本殿を包み込む透き通った空気は、平等院周辺の喧騒とは鮮やかな対比をなす。境内には宇治七名水のひとつ「桐原水」が今も湧き出ており、覆屋の隙間から差し込む木漏れ日が、覆殿内の三社を厳かに照らし出す。
派手な演出や装飾は一切ない。しかし、平安の貴族たちが戦乱や政争の果てに求めた祈りの原点が、この簡素な木造建築の中に凝縮されている。