棚に眠ったままの分厚いマニュアルは、有事の際には何の役にも立たない。近年求められているのは、フィンクの4段階モデルを組み込んだ、生きた事業継続計画(BCP)の運用だ。特に急性期から慢性期への移行をスムーズに行うためには、権限委譲の明確化とサプライチェーンの代替ルート確保が欠かせない。
さらに、こうした危機管理体制の実効性を担保するのが強固なコーポレートガバナンスである。経営陣に対して耳の痛い情報が迅速にエスカレーションされる風土があるか。社外取締役が有事において客観的なブレーキ役・アクセル役を果たせるか。統治構造の健全さこそが、予兆期における早期発見の感度を決定づける。