過密ダイヤを極める首都中枢路線を1本たりとも止めることなく、直上に巨大な橋を架ける作業は、日本の鉄道インフラ工学における至難の業だ。数分間隔で列車が疾走する営業線近接工事では、わずかなミリ単位の狂いも許されない。終電から始発までのわずか数時間という極限のタイムリミットのなか、特殊な架設重機を用いた超高精度な施工が夜ごと繰り広げられている。
この難工事は単なる踏切の撤去にとどまらない。周辺の狭隘な道路網を再編し、災害時にも機能する強靭な動線を構築する都市再開発プロジェクトとしての性格を帯びている。線路によって長年分断されてきた地域コミュニティを安全な立体通路で結び直す試みは、過密都市・東京が持続可能性を手に入れるための象徴的なモデルケースともいえる。