美術展の現場において、若冲の鶏図の前に立つ観覧者の多くが口にするのが「鶏の眼の異様な迫力」です。単なる愛玩動物としての鳥ではなく、恐竜の末裔を思わせる冷徹で鋭利な瞳。拡大鏡や単眼鏡(モノキュラー)を片手に鑑賞するファンの間では、「羽毛の1本1本に施されたハイライトの細さに言葉を失う」「印刷やスマートフォンの画面では到底伝わらない、岩絵の具の鉱物的な輝きがある」という声が常に挙がります。
近年の若冲展覧会情報でも、三の丸尚蔵館のリニューアル開館記念展をはじめ、各地の企画展で若冲作品の展示室には長蛇の列が形成されています。SNS上でも「若冲の鶏は目が合うと金縛りに遭うようなリアリティ」「18世紀の人間がここまで解像度の高い視覚を持っていたことに戦慄する」といった感想が絶えず投稿されており、時代を超えて人々を魅了し続けています。