桑という植物を語る上で欠かせないのが、「実(桑椹)」と「葉(桑葉)」の役割分担です。健康茶市場で圧倒的なシェアを持つ桑の葉茶と、生果・加工品として利用される桑の実では、体内でのアプローチが決定的に異なります。
桑の葉の主成分であるDNJは、小腸に存在する二糖類分解酵素(α-グルコシダーゼ)の働きを阻害し、食後の血糖値スパイクを抑える機能に特化しています。糖質制限やメタボリックシンドローム対策として日常的に飲用されるのはこのためです。
一方、果実である桑の実は、東洋医学において「補血(貧血や血行不良を改善する)」「滋陰(体液を潤し乾燥を防ぐ)」の生薬として重用されてきました。抗酸化ポリフェノール、ビタミン類、ミネラルが凝縮したエネルギー補給源であり、白髪予防や眼精疲労、肌のエイジングケアを目的とするならば、葉のお茶ではなく実の摂取が適しています。目的が「糖の吸収抑制」なのか「全身の抗酸化・造血補給」なのかによって、明確に使い分ける必要があります。