バラエティ番組やラジオパーソナリティとしての親しみやすいキャラクターから、ライト層の間では「King Gnuのボーカル=井口理」と単一視されるケースが時折見られます。しかし、これは音楽的実態を見誤った大きな誤解です。
実態として、King Gnuの楽曲において常田大希のボーカルは装飾ではなく、サウンドの重心(低音域)を支える不可欠な構造材となっています。井口の高音がどれほど美しくても、常田の低音とエッジの効いたギターワークが存在しなければ、楽曲はロックバンドとしての荒々しさや中毒性を失い、単なる清涼感のあるポップスに終始してしまいます。
さらに見落とされがちなのが、ベースの新井和輝による巧みなコーラスワークです。ライブにおいて3声のハーモニーが重なり合う瞬間、King Gnuのボーカルアンサンブルは極限の音圧と美しさに達します。単一の歌唱力に依存しない重層的なボーカル設計こそが、巨大なドームや野外スタジアムを圧倒し続ける理由です。