警察庁や交通事故総合分析センター(ITARDA)の統計データを見ても、交差点における左折時の事故は重大な人身事故へ直結しやすい傾向が顕著です。その最大の要因は、「車の死角」と「内輪差による空間の急激な狭小化」の複合作用にあります。
左折を開始する際、ドライバーの視線は進行先(左折先の横断歩道や対向車)に集中しがちです。しかし、車体左側にはサイドミラーに映らない「ピラー(柱)の死角」や「助手席ドア後方の死角」が存在します。
直進してきた自転車や原動機付自転車は、「車が前に進んでいるから横をすり抜けられる」と判断しがちです。ところが、ドライバーがステアリングを切った途端、内輪差によって車の後部が急激に左側の縁石方向へ吸い寄せられます。その結果、二輪車は逃げ場を失い、車体側面と縁石の間に挟まれる形で巻き込み事故が発生します。
この惨劇を防ぐためには、左折直前のミラー確認だけでは不十分です。「左折する30メートル手前でウインカーを出し、あらかじめ道路の左端へ寄せて二輪車の割り込みスペースを消す」という基本動作の徹底が極めて有効な防護策となります。