有料職業紹介事業の立ち上げ完全解説!資産要件と審査の落とし穴

有料職業紹介事業の立ち上げ完全解説!資産要件と審査の落とし穴

今注目を集めている 有料職業紹介事業の立ち上げ完全解説!資産要件と審査の落とし穴について、多角的な視点をご紹介しています。

物件選びと開業形態を巡っては、過去の規制緩和に伴う誤解がネット上に氾濫しています。ここを履き違えると、賃貸借契約を結んだ後に労働局からダメ出しを喰らい、解約手数料や移転費用で手痛い打撃を被ることになります。

かつて有料職業紹介事業の許可には「事業所の床面積がおおむね20㎡以上」という厳格な数値基準が存在しました。しかし、平成29年(2017年)の法改正によって事業所面積要件の緩和現在に至り、面積の数値基準そのものは撤廃されています。この緩和を受けて「ワンルームマンションの一室や格安のコワーキングスペースで開業できる」という言説が広まりました。

しかし、審査の実態は決して甘くありません。面積要件が撤廃された代わりに導入されたのは、「求人者・求職者の個人情報を適正に管理し、プライバシーを保護し得る構造」という定性要件です。具体的には以下の構造的基準が課されます。

  • 面談スペースと他の執務スペースが、高さおおむね1.8メートル以上のパーテーションや固定壁で視覚的・聴覚的に遮断されていること。
  • 同フロアに別法人と同居する場合、明確な間仕切りがあり、入り口から独立した動線が確保されていること。
  • 個人情報が記載された履歴書や契約書を保管するための、施錠可能なキャビネットが物理的に設置されていること。
  • 郵便受けや看板に独立した法人名・屋号が明記できること。

このため、住所貸しだけのバーチャルオフィスはもちろん、天井まで隙間のあるオープンスペース型のフリーアドレス席は100%審査を通りません。個室ブースを契約したとしても、壁の上部が空いていて隣室の会話が筒抜けになる設計であれば、労働局の実地調査や写真審査で容赦なく改善指示(または再提出)を突きつけられます。

もう一つの論点が個人事業主開業の可否と経緯です。法律上、有料職業紹介事業は個人事業主であっても許可申請を行うことが可能です。個人の場合、確定申告書の控除後資産や個人名義の預金残高証明書(500万円以上の純資産+150万円以上の現金預金)を提出することで審査対象になります。

しかし、現場を知る専門家の間では「個人事業主での参入は極めて茨の道」というのが共通認識です。大手の求職者データベース(求人ポータル)を利用しようとしても、運営企業側の利用規約で「法人限定」と定められているケースが大多数を占めます。さらに、求人企業側のコンプライアンス審査においても、個人事業主のエージェントに対して採用を委託する心理的ハードルは依然として高く、法人成りを余儀なくされるのが現実的な結末です。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。