ネット上のアフィリエイト広告やショート動画で頻繁に見かける「長年のシミがポロリと剥がれ落ちる」という表現。結論から明言すれば、これは皮膚科学的に明白な虚偽であり、薬機法(医薬品医療機器等法)に抵触する違法広告の典型例だ。皮膚科専門医への取材でも「外用化粧品や医薬部外品を塗布しただけで、角質層のメラニン色素が塊となって剥離することは構造上あり得ない」と一蹴されている。
それにもかかわらず、なぜシミ消える噂の真相を信じてしまう人が後を絶たないのか。その背景には、肌のターンオーバー(新陳代謝)に対する誤解がある。皮膚の表皮細胞は基底層で生まれ、徐々に表面へと押し上げられて最終的に垢となって剥がれ落ちる。20代では約28日周期とされるこのサイクルも、加齢とともに長期化する。皮膚科学会の臨床調査データによれば、40代では約40〜45日、50代では55日以上を要することが実証されている。
つまり、すでに蓄積して何年も定着しているメラニンが数週間や1カ月程度で消失することはあり得ない。広告で見かける「ポロポロ取れる」映像の多くは、カルボマーなどの高分子ゲルとカチオン界面活性剤が化学反応を起こして生じた単なるカス(凝集物)を、あたかも剥離したシミに見せかけているにすぎない。この商業的なトリックを見破ることが、無駄な出費を防ぐ第一歩となる。