今治のソウルフードとしていまや日本全国に知れ渡る焼豚玉子飯。その原点を辿ると、昭和40年代に今治市内に存在した中華料理の名店「五番閣」のまかない飯に行き着きます。当時、厨房で働く若き料理人たちが、手早くガッツリと栄養を補給するために生まれた裏メニューでした。その五番閣で修行を積んだ料理人たちが独立し、それぞれの店舗でメニュー化したことで、地域一帯へと広まっていった歴史があります。
なかでも重松飯店は、同じく名店と称される「白楽天」と並び、この素朴なまかない飯を洗練されたご当地B級グルメへと昇華させた最大の功労者です。「B-1グランプリ」への出展などを経て全国区の知名度を獲得した背景には、店主が頑なに守り続けてきた「素材の調和」に対する徹底的なこだわりが存在します。
一般的なチャーシュー丼と決定的に異なるのは、豚肉、卵、タレ、白米が三位一体ならぬ「四位一体」となるよう緻密に計算されている点です。重松飯店の焼豚は、過度な脂っこさを抑えた薄切り仕立て。これが熱々の白米と半熟卵に絶妙に絡み合い、決して重すぎない絶妙な後味を生み出しています。「ジャンクに見えて、実は極めて完成度の高い一杯」と評される理由がここにあります。