コンペイトウの表面にある独特の「角」は、型に入れて固めたものではない。斜めに傾いた巨大な回転釜の中で、加熱しながら糖蜜を幾重にも薄くかけ続けることで、自然発生的に生まれる物理現象の産物だ。その角が完成するまでには、職人が釜の前に張り付き、最低でも1週間から2週間以上の歳月を要する。
「気温が1度違うだけで、蜜の乾き方が変わる。湿気が高ければ蜜が流れ、低すぎればゴツゴツとした歪な角になる」と現場のベテラン職人は語る。目視だけでなく、釜の底を砂糖粒が滑り落ちる乾いた音の高さ、立ち上る蒸気の湿度、そして手のひらで感じる微細な摩擦抵抗。工学的なセンサーすら凌駕する職人の身体感覚だけが、あの美しい突起の均等性を支えているのだ。