水彩色鉛筆を扱う上で最も避けるべきは、画面全体を一度に水で濡らしすぎて「濁った泥水のような仕上がり」にしてしまうことです。プロの現場で実践されている3大アプローチを身につけるだけで、仕上がりは劇的に洗練されます。
1つ目は、最も基本となるドライ・オン・ウェット&ウォッシュ(基本のぼかしテクニック)です。まず色鉛筆で淡く均一にハッチング(斜線)を重ね、その上から水分を適度に切った筆を走らせます。このとき、「薄い色から濃い色へ」向かって筆を動かすのが濁りを防ぐ鉄則です。エッジをぼかしたい場合は、あらかじめ綺麗な水で紙を湿らせておき、そこへ向かって色を流し込む「ウェット・イン・ウェット」を用いると、滑らかなグラデーションが完成します。
2つ目は、立体感を飛躍させる水彩色鉛筆の塗り方における重ね塗り(レイヤリング)です。水彩色鉛筆の真骨頂は、一度水で溶かして完全に乾燥させた上から、さらに別の色を乾いた状態で塗り重ねられる点にあります。例えば、黄色を水で溶かして乾かした下地の上に、青色を乾いたタッチで重ね、部分的に水を含ませると、紙上で美しいエメラルドグリーンが発色します。混色をパレットで行うのではなく、層(レイヤー)として積み上げることで、濁りのないクリアな中間色を表現できます。
3つ目は、イラストレーターや画家が重宝する水彩画と色鉛筆の併用技法です。広い背景やベースの陰影は水彩色鉛筆を完全に溶かして水彩風に仕上げ、乾いた後に動物の毛並みや瞳のハイライト周辺、建築物のシャープな輪郭などを「乾いた色鉛筆の芯」で描き起こします。水彩の柔らかさと色鉛筆の精密さをハイブリッドに組み合わせることで、作品の情報量が圧倒的に高まります。