観光客の間では「江ノ島に来たからには生しらすを食べなければ損だ」という強い固定観念が見受けられます。しかし、釜揚げしらす生しらす違いを食品科学の観点から紐解くと、必ずしも「生=最上」とは限らない実態が浮かび上がってきます。
生しらすの魅力は何といってもその鮮烈な食感と、舌の上でほのかに広がる磯のほろ苦さ、そして透き通るようなビジュアルの美しさにあります。獲れたてから数時間で鮮度劣化が始まり、身が白濁してドリップ(水分)とともに苦味が強くなるため、産地でしか食べられない圧倒的な希少性を持っています。
一方、水揚げ直後に絶妙な塩分濃度の熱湯で茹で上げられた「釜揚げしらす」は、加熱処理によって魚肉のタンパク質が変性し、イノシン酸やグルタミン酸などのアミノ酸(旨味成分)がギュッと凝縮されます。ふっくらとした柔らかな口当たりと自然な甘みは、白米との相性という点において生しらすを凌駕すると評価する食通も少なくありません。
後悔しない選択肢として強くおすすめしたいのが、両方を一度に味わえる「二色丼」です。生の鮮烈さと釜揚げの旨味を交互に味わうことで、最後まで飽きずに湘南の海の幸を堪能できます。