スクリーンが育んできたファッショナブルな英語の系譜も実に興味深い。1990年代を代表するカルト映画『クルーレス』で主人公シェールが放った「as if!(まさか!)」や、独特の抑揚を持つアップスピークは、当時のポップアイコンたちのアイデンティティそのものだった。そのエッセンスは、時代を超えて現代の映像作品へと見事に受け継がれている。
代表例が、世界中で大ヒットを記録しているNetflixのオリジナルドラマ『エミリー、パリへ行く』だ。リリー・コリンズ演じるエミリーが放つ、少し前のめりでチャーミングな英語のトーンは、フランス語の響きと衝突しながらも抜群の愛嬌を放つ。「chic(粋な)」や「ringarde(時代遅れ)」といった言葉を英語の会話に混ぜ合わせながら、自分らしさを貫く彼女の台詞回しには、異文化の中で軽やかに生きるためのヒントが詰まっている。