インターネット上の検索トレンドや掲示板を見渡すと、桝氏の同志社転身に関して幾つかの決定的な誤解が根強く残っています。これらを一つずつファクトチェックで検証します。
誤解1:「アナウンサーを引退した」という誤認
桝氏は退社時に「アナウンサーをやめる」とは一度も発言していません。彼が宣言したのは「局アナを辞め、専任の研究員になる」ということであり、喋り手としてのスキルを完全に手放したわけではありません。むしろ「科学を伝えるための最大の武器」として、16年間の局アナ経験で培ったアナウンス技術を現在もフル活用しています。したがって「アナウンサー復帰」という表現自体が不適切であり、現在進行形で現役のキャスターです。
誤解2:「東京での出世競争に敗れて京都へ都落ちした」という憶測
局内での立場が悪くなって地方大学へ逃げたという言説は、当時の社内力学を無視した暴論です。『ZIP!』を10年完走し『バンキシャ!』のメインを務めていた桝氏は、同期や後輩の中でもトップの出世頭であり、局内に残っていればアナウンス部長や役員待遇へと駆け上がる既定路線にいました。安定した出世コースと高給を自ら手放し、任期付きの研究職(助教)へ飛び込む決断は、保身とは対極にある極めてリスクの高い挑戦でした。
誤解3:「同志社大学の教授になった」という肩書の混同
ネットニュースのコメント欄などで「桝教授」と誤認されるケースが目立ちますが、正確な役職は「助教(専任研究所員)」です。大学教員の階級は一般に「教授 > 准教授 > 講師 > 助教」となっており、助教は研究キャリアの出発点に位置するポストです。ネームバリューを笠に着て名誉職的な「特任教授」に収まるのではなく、自ら現場で手を動かして論文を書く「下積み研究員」の立場を選んだ点に、桝氏の学問に対する並々ならぬ誠意が現れています。