『巡恋歌』は、フォークギター愛好家にとって今なお「登竜門」であり「最高峰の壁」として君臨しています。その最大の要因が、神業と称される高速スリーフィンガー・ピッキングです。親指、人差し指、中指の3本を極限のスピードで独立して動かし、アルペジオとパーカッシブなベース音を同時に刻む奏法は、当時のアコースティック界に大きな衝撃を与えました。
楽曲の基本構成は、情感豊かなマイナーコードを基調としています。キーはEm(ホ短調)をベースに進行し、Am、B7、D、Gといったフォークの基本コードを用いながらも、細やかな経過音やベースランニングが緻密に組み込まれています。また、間奏やイントロで炸裂するハーモニカ(10ホールズ・ブルースハープ)には「キーA」のハープを用いたセカンドポジション(クロスハープ奏法)が多用され、ベンドを効かせた咽び泣くような音色が楽曲の哀愁を一層際立たせています。