普段私たちが利用しているFMラジオ放送や防災行政無線、航空無線などに使われるVHF帯(超短波)の電波は、基本的に見通し距離(直線距離で数十〜100km程度)にしか届かず、上空の電離層(通常はD層・E層・F層)を突き抜けて宇宙へ抜けていく性質を持っています。
しかし、高度およそ100km付近のE層領域に、突発的(スポラディック:Sporadic)に極めて電子密度の高いプラズマ雲のような薄い層が出現することがあります。これこそが「スポラディックE層(Es層)」です。この層が形成されると、普段は突き抜けるはずの高い周波数の電波を強力に反射し、地表とEs層の間を往復しながら1,000km〜2,000km以上離れた地点まで強力に電波を届けてしまいます。これが、近隣局の放送に遠方の見知らぬ局が被さる「謎の混信」の正体です。