定期テストや大学入試において、「門出」は文法問題の宝庫です。とりわけ冒頭の短い二文には、識別問題の定番である助動詞が凝縮されています。
冒頭二文の完全品詞分解
「女もしてみむとてするなり」の構文は、以下のように細かく分解されます。
【品詞分解の構造】
・男(名詞)
・も(係助詞)
・す(サ行変格活用動詞「す」の終止形)
・なる(伝聞の助動詞「なり」の連体形 ※終止形接続)
・日記(名詞)
・といふ(格助詞「と」+ハ行四段動詞「いふ」の連体形)
・もの(名詞)
・を(格助詞)
・女(名詞)
・も(係助詞)
・し(サ行変格活用動詞「す」の連用形)
・て(接続助詞)
・み(マ行上一段活用動詞「みる」の未然形)
・む(意志の助動詞「む」の終止形 ※未然形接続)
・とて(格助詞「と」+接続助詞「て」が合わさった複合格助詞。「〜と思って」の意)
・する(サ行変格活用動詞「す」の連体形)
・なり(断定の助動詞「なり」の終止形 ※体言・連体形接続)
女もしてみむとてするなり 品詞分解で受験生が最も狙われるのは、「してみむ」の「む(意志)」と、末尾の「するなり」の「なり(断定)」です。「みむ」の「む」は話し手自身の動作に対する意志を表し、最後の「なり」は直前が連体形「する」であることから伝聞・推定ではなく「断定」と判別しなければなりません。
「土佐日記 門出 助動詞 意味」の識別対照表
試験で高配点となりやすい文法事項を、視覚的に比較できるよう一覧表に整理しました。
係り結びの法則と構文解説
土佐日記 門出 係り結び 解説として外せないのが、「年ごろ、よく比べつる人々になむ、別れ難く思ひて、日しきりに、とかくしつつ、ののしるうちに、夜更けぬ」の文構造です。
ここでは係助詞「なむ」が用いられていますが、文末は「夜更けぬ」と終止形で結ばれています。これは文法的なミスではなく、「係り結びの流れ(文末の省略・破調)」と呼ばれる現象です。本来「なむ」の力は「思ひて」の述語部分にかかっており、文全体が「〜親しく付き合ってきた人々が別れ難く思って……(騒ぐうちに夜が更けてしまった)」と接続助詞「て」で別の文へと流れ込んでいるため、明確な結びの連体形が見当たらない構造となっています。試験では「なむ」の係助詞の働き(強意)を問われることが多いため注意してください。