人間の頭髪は、一体どれくらいのペースで成長しているのでしょうか。日本皮膚科学会の臨床データや毛髪研究機関の測定基準によると、日本人の毛髪が伸びるスピードは1日あたり約0.35〜0.4mmが標準値とされています。これを時間軸ごとに換算すると、日常で私たちが体感する長さの輪郭がはっきりと見えてきます。
1週間でおよそ2.5mm、1ヶ月(30日)でおよそ1.0〜1.2cm、そして1年間で約12〜15cmという計算になります。もちろんこれには個体差があり、年齢、性別、基礎代謝、気温や季節(新陳代謝が活発になる春から夏にかけて早まる傾向)によってわずかな増減が生じます。しかし、健康な成人であれば「1ヶ月で約1cm」という数値を大きく逸脱することはありません。
ここで理解しておきたいのが、髪が生え変わる周期である「毛周期(ヘアサイクル)」です。毛髪は常に伸び続けているわけではなく、以下の3つのフェーズを繰り返しています。
- 成長期(約3〜6年):毛母細胞が活発に分裂し、太く長く成長し続ける期間。頭髪全体の約85〜90%がこの状態にある。
- 退行期(約2〜3週間):細胞分裂が急速に減退し、毛根が縮小を始める移行期間。全体の約1%前後。
- 休止期(約2〜3ヶ月):毛根の活動が完全に停止し、下から新しい毛が押し出されて自然脱落するのを待つ期間。全体の約10〜15%。
つまり、前髪の毛先を切り揃えたとしても、頭皮に存在する数千本の前髪用毛包それぞれが独自のヘアサイクルを維持しており、全体としては月平均約1cmのスピードで整然と前進し続けています。