「キャラクターそのものの絵が描けないなら、一体どうやって推しや子どものお祝いをすればいいのか」。現場の利用者が行き着いた解決策は、いまやSNSのカルチャーとして定着した「モチーフ・概念(イマジナリー)オーダー」です。
都内のオーダー専門店で年間300件以上のアイシングクッキーを手掛けるチーフパティシエは、利用者の変化について次のように明かしています。
「2020年頃までは『このアニメの画像をそのまま描いてください』というご要望が主流でした。しかし現在では、お客様側から『キャラの顔ではなく、推しが身につけているジャケットの柄、瞳の色を模したビジュー、誕生日と名前のカリグラフィーで作ってください』という洗練されたご相談が全体の7割を超えています。ファンの皆様の間で『公式の権利を侵害せず、自分たちだけの特別な世界観を表現したい』という倫理観と美意識が根付いてきたことを強く実感します」
大手コミュニティサイトやSNS上の口コミを分析すると、成功者と失敗者の間には注文時の「アプローチの違い」が如実に表れています。
【満足度の高かった利用者の声】
「アイドルの担当カラーであるエメラルドグリーンとホワイトを基調に、ツアーのロゴ風フォントで名前を入れてもらいました。顔のイラストがなくても、並べたケーキのクオリティが圧倒的で、SNSにアップした際もファン仲間から大絶賛されました」(20代・アイドル推し活女性)
「息子の5歳の誕生日に、大好きな新幹線の型抜きクッキーと踏切モチーフ、年齢の『5』をオーダー。公式の電車イラストではなくても、息子は大喜びで抱きしめていました」(30代・保護者)
【後悔・不満を抱いた利用者の声】
「フリマアプリで安くキャラクッキーを出品していた個人に依頼したら、届いた時には顔のパーツがバキバキに割れていた。補償もされず、連絡も途絶えて子どもの誕生日に間に合わなかった」(30代・保護者)
「色味の指定を『青系でおまかせ』とアバウトに伝えたら、推しの青(くすみブルー)とは全く違うビビッドな原色の青で仕上がってしまい、統一感が崩れてしまった」(20代・アニメファン)
このように、権利関係をクリアしながらハイレベルな作品を手に入れるためには、ショップ選びと注文時の具体的なビジュアル指定が明暗を分けることが浮き彫りになっています。