「一年の計は元旦にあり」という言葉を正しく使いこなす上で、避けて通れないのが「元旦」と「元日」の混同問題です。日常会話や新年の挨拶文において、この2つを同義語として扱っているケースが後を絶ちません。
漢字の成り立ちに目を向けると、その違いは明白です。
「元日(がんじつ)」:1月1日という「暦上の丸一日」そのものを指します。国民の祝日に関する法律でも「元日」と規定されており、24時間全体の名称です。
「元旦(がんたん)」:「旦」という漢字を分解すると、「日(太陽)」の下に「一(地平線・水平線)」が引かれています。すなわち、地平線から太陽が昇る瞬間、つまり「1月1日の朝・夜明け」だけを限定して指す言葉です。
この事実を踏まえると、年賀状やビジネスメールで頻出する「1月1日元旦」や「元旦の朝」という表現は、明らかな重言(重複表現)であり誤用であることが分かります。「頭痛が痛い」と言うのと同じ構造です。
さらに、「一年の計は元旦にあり」を厳密に解釈するならば、「1月1日の午後からのんびり考える」のでは遅いということになります。夜が明け、新しい太陽が昇る清澄な時間帯に、雑音を排して己の志を定めること。言葉の成り立ちそのものが、極めて引き締まった時間意識を要求しています。