ブレーキペダルを軽く踏み込んだ際、あるいは走行中に足元から「キーキー」「シャリシャリ」という甲高い金属音が聞こえた経験はないでしょうか。このブレーキパッド異音キーキーの原因の多くは、単なる汚れではなく、パーツが命がけで発している物理的な摩耗サインです。
現代のブレーキパッドには、金属プレートで構成されたブレーキパッドウェアインジケーター(パッド摩耗警告片)が組み込まれています。摩擦材がすり減って危険域である残量約2mm前後に到達すると、意図的にローター表面へ金属片が接触するように設計されており、耳障りな金属摩擦音を発生させてドライバーに寿命を知らせる仕組みです。
この機械的な警告音を「寒いからだろう」「ブレーキ鳴きはたまにあるものだ」と軽視して走り続けると、数日後には甲高い音から「ゴリゴリ」「ガリガリ」という鈍く重い破壊音へと変化します。これはパッドの摩擦材が完全に消滅し、台座の鉄板がローターを激しく削り取っている末期症状です。
輸入車や国産の高級車・上級グレード車では、金属片による異音ではなく、配線を仕込んだ電子式センサーが採用されています。パッドが薄くなるとセンサー線が削れて断線し、メーターパネル内に警告を促すシステムです。しかし、一般的な国産大衆車でブレーキ残量警告灯点灯の理由となるのは、センサー断線ではなく「ブレーキフルード(作動油)の液面低下」が主因となります。
ブレーキパッドがすり減ると、減った厚み分だけキャリパー内部のピストンが外側へ押し出された状態を維持します。すると、ピストン室を満たすためにリザーバータンク内のブレーキフルードが配管奥へと引き込まれ、タンク内の油面がMINラインを下回ることで、メーター内のサイドブレーキ警告灯(赤色または黄色)が点灯するのです。フルードがどこからも漏れていないのに警告灯が点灯した場合、それはブレーキパッドの残量が限界近くまで減少している間接的な証拠となります。